保険診療と自費診療の違いとは?
そのおかげで、患者さんは窓口で払う金額を抑えることができるのです。
すべての症状に保険が適用されるわけではないことはご存じかと思いますが、どんな症状には保険が適用され、どんな症状にはされないのか、はっきりとはわからない方が多いのではないでしょうか。
ここでは保険診療と自費診療の違いを分かりやすく解説します。
保険が適用されるのは急性期、つまりケガや事故の直後
保険が適用される症状の例はこのようなものです。
【健康保険が適用される症状例】
- ギックリ腰になった
- 寝違えて首が回らない
- 散歩中に躓いてねん挫をした
- スポーツの最中に骨折・脱臼した
【労災保険が適用されるケース】
- 仕事中、または通勤時のケガ
【自賠責保険が適用されるケース】
- 交通事故によるケガ
このようなケースでは、接骨院や整骨院に行くと保険を適用した施術をしてもらえることが多いです。
ただし、「直後」であることがポイントで、
「3ヶ月前にギックリ腰になったが、自宅療養していたら動けるようになった。でもまだなんとなく痛い気がする」
といった、時間が経ってしまっているケースは保険適用とはなりません。
また、その場では保険適用という説明を受けても、加入している健康保険組合から聞き取り調査が行われ、のちに取り消しとなることもあります。
柔道整復師による保険適用の施術は判断が分かれることも少なくないため、専門家でもない患者さん側から「保険を使ってほしい」といった要望を出すことは控えた方が無難です。
自費診療とは誰でも受けることのできる施術
一方、接骨院や整骨院、整体院での自費診療とは保険を使わない施術です。
全額自己負担となるため、窓口で支払う金額は比較的高くなりますが、慢性的な痛みや不調、昔のケガが痛んだ時でも相談できますし、予防のために受けることだって可能です。
院によっては、自費診療と保険診療を合わせた施術を行うこともあります。
保険を適用した施術ができるのは、「柔道整復師」という国家資格を保有する施術家のみです。
接骨院、整体院という屋号は、柔道整復師のみがつけることができます。
民間資格の「整体師」では、接骨院や整骨院を名乗ることはできません。
詳細はこちらの記事をご覧ください。
しかし、だからと言って接骨院・整骨院での施術がすべて保険適用となるのではありません。
保険が適用されるのは、あくまで「症状に対して」であり、「接骨院・整骨院だから」保険が適用できるのではないというのがポイントです。
歯の健康についての考え方が、治療から「予防」へと変わっていったのと同じように、体の健康に対しても
「痛くなったら治す」
ではなく
「痛くならない体づくりをする」
という考え方をする人が増えています。
そのため、柔道整復師が営む接骨院や整骨院であっても、予防という考え方で自費診療の施術を提供している院も少なくありません。
治療院に行く目的をはっきりとさせ、対応する院を選ぶことが大事
治療院には治療院ごとの方針があります。保険診療のみを行う院、交通事故対応に特化した院、オールマイティに対応できるよう体制を整えている院、健康維持を掲げる院・・
保険が使えるか使えないか、資格があるかないか、という点だけでなく、あなたが行こうとしている院がどんな方針なのかを調べることが重要です。
そしてまた、あなた自身も「自分は何のために治療院に行こうとしているのか」という目的をはっきりさせておく必要があります。
ケガや急な痛みに対して処置をしてほしいなら、保険診療。
慢性的な痛みや疲労のケア、健康維持を目的とするなら、自費診療。
払う金額の多い少ないで判断せず、目的に合ったサービスと支払いをするようにしましょう。