変形性股関節症・臼蓋形成不全の原因とセルフケア方法を解説!長い目で見て再発防止に取り組みましょう
「右(左)の足に体重がかかると右(左)足の付け根が痛む」
「階段を上がるのがしんどい」
「股関節を動かすと痛みを感じる」
このような症状でお悩みの方は、股関節に何らかの異状がある可能性があります。
下肢の悩み、特に股関節痛のスペシャリストとして多くの患者さんをケアしている、川崎市の「M.A.K.鍼灸整骨院」院長の増田一三先生にお話を伺いました。
M.A.K.鍼灸整骨院についての詳細はこちらをご覧ください。
根本解決が難しい股関節症には姿勢改善と自己ケアが重要なポイントに
足の付け根が時々痛む、特に荷重がかかると痛みが増すのは股関節痛と呼ばれ、病院に行くと「変形性股関節症」、または「臼蓋形成不全(きゅうがいけいせいふぜん)」などと診断されることがあります。
診断されれば即手術になるわけではなく、もしも日常生活がまともに送れない、痛くて夜も眠れないのであれば手術の可能性が高くなります。
そこまでの痛みではないのであれば、湿布、塗り薬、痛み止め、電気や温熱療法を勧められることが多いようです。
痛みが強いと、ヒアルロン酸注射を打つこともあります。
しかし、そのような治療を受けてもなかなか痛みが引かず、その場ではよくなったように感じられても、またすぐに再発してしまうのが股関節痛の特徴です。
なぜ痛みが引かず、再発してしまうのかというと、股関節痛の原因がその人の生まれつきの体のつくりによるものだったり、姿勢や日常生活の過ごし方にあったりするためです。
股関節の動きを滑らかにしながら、同時にしっかりと休養を取る。
そして当初の痛みが落ち着いたら柔軟性アップ、筋力アップを図り、姿勢や日常生活を見直して再発防止に努めていく。
このように長い目で対策を取っていかなければならないのです。
実際、私の院にいらっしゃる患者様の中でも股関節痛でお悩みの方には、やること・教えることが多いなと常々感じています。
患者様ご自身が根気強く股関節痛と向き合い、必要なワークを実践していくことが重要です。
股関節症の原因とは?
股関節の異状が生じる原因は、主に3つあります。
一つは生まれつきの骨の形によるもの。大腿骨頭が臼蓋のくぼみに収まるのが通常ですが、生まれつき臼蓋のくぼみが浅く、大腿骨頭がうまくはまっていないと、摩擦やずれが起きやすくなります。
それにより、軟骨や骨がすり減ってしまい、痛みが生じます。
二つ目は姿勢です。
股関節が痛い、足の付け根が痛いと訴えて来院する患者様のほとんど、もう100%と言っていいと思いますが「反り腰」になっています。
反り腰とは「気をつけ」をした時にお腹が前に出る姿勢です。
おそらく癖や筋肉の付き方でそうなってしまったのだと思いますが、最近の若い方には特に多いように感じられますね。
若い子に「気をつけ!」というと、やたらと腰を前に突き出します。生活環境の変化の影響でしょうかね。
反り腰になると、股関節は内側にねじれます。
ねじれた状態で曲げ伸ばしをすれば、位置が悪いため当然、関節部分に本来ならば起きなくてもいい摩擦が生じます。
それによって軟骨がすり減っていき、長い時間をかけて股関節痛という異常が現れるのです。
三つ目は生活習慣です。
一つ目、二つ目の原因に比べれば少数ですが、長時間のデスクワークでずっと同じ姿勢で固まっていて、そこから動かすので関節の動きがスムーズにいかず、関節痛が生じることがあります。
しかし、股関節痛の場合はデスクワークだけで発症することはあまり考えにくく、生まれつきの骨の形や姿勢との複合的な要因の一つといったところでしょうか。
いま生じている股関節の痛みをケアするだけでなく、姿勢や生活習慣を見直すなどして、股関節痛の原因を取り除いていくことが大切です。姿勢を治して股関節痛がすぐに良くなるわけではありませんが、先の長い人生で再発しないために、改善を試みることをお勧めします。
股関節症に対して治療院ですることと自己ケア法
当院では姿勢や筋力トレーニングの指導もしますが、それより前に痛み軽減のための施術をします。
股関節の位置を正常に戻し、摩擦を減らせるように関節の動きを滑らかにしていきます。
初回の施術で、何かしら少しでもいい方向に持って行くことを心がけています。
とにかく、「痛い」と思って来院してくれた患者様を、痛いまま帰さないということですね。
ご自宅でできる関節トレーニングもお伝えしています。
次に、再発を繰り返さないために姿勢の改善をしてもらいます。
前述のとおり、股関節痛の人は反り腰になっていることがほとんどです。
壁に踵を付けて立ってもらうと、腰と壁の隙間が大きく開いています。
良い姿勢の理想は、横から見た状態で上から順に
・耳の穴
・肩
・大転子(太腿の付け根の外側の出っ張り)
・膝
・外くるぶし
が、床に垂直に一直線上に並びます。
これは自分では確認が難しいので、スマホで写真を撮ったり、人に見てもらうのがいいですね。
反り腰になっている人はこれが一直線ではありませんので、姿勢の矯正を行っていきます。
① 踵重心に立つ
② 下っ腹を凹ませる
(反り腰の人はここでヨロヨロしますが頑張ってください)
③ 顎を上げる
④ 顎を引いたまま下ろす
顎を引くのは、反り腰だとバランスを取るために首が前に出ているためです。
反り腰を改善させると同時に首の位置も正常に戻していきます。
①~④を何度か行ってから再度、壁に踵を付けて立ってみると、腰と壁の隙間が減っているはずです。
ご自宅でも簡単にできますので、思い出したときにこまめに取り組んでみてください。
温めには小豆袋がオススメ!
股関節痛の改善には、日々のセルフケアや休養がとても大切です。
症状の程度によりますが、「痛いというほどではなくちょっと気になるくらい」でしたら、トレーニングだけでも緩和されることが多いです。
股関節痛は「腹横筋」や「多裂筋」を鍛えることが大切です。
最近はYouTube上にトレーニング方法がたくさん紹介されていますので、検索して実践してみてください。
痛みが強い時には、自己流のトレーニングは避けましょう。
どんな部位であっても、「痛い」と感じるということは、炎症が起きている可能性がありますので、まずは休ませることが大事です。
その時に、患部が熱を持っていると感じたら冷やすことも大切です。
股関節はテーピングなどで固定することができないため、他の関節と比べてしっかり休ませることができません。
人間、生活していれば歩かざるを得ませんし、座ったり立ったりするときにも股関節を使いますので。
固定できませんが、できるだけ重いものを持ち上げたり、階段の上り下りをしたりするのは避けましょう。ウォーキングもお休みしてください。
「患部は寝ている間にしか治らない」ということを覚え、しっかり睡眠をとりましょう。
痛みが強いとき、炎症が起きているときは冷やすことが大事ですが、安静にしていれば痛くないくらいの状態になったら、今度は適度な温度で温めることが大切です。
夏でも湯船に入って温めてください。最近はシャワーで済ませる方が多いようですが、湯船に浸かってくださいね。
私が患者様にお勧めしているのは小豆袋です。
小さめの巾着袋に小豆を入れて、電子レンジで1分程温め、患部にあてます。寝るときに足の付け根やお腹に載せておけばポカポカと程よく温まります。
小豆からは遠赤外線が出ますので、体の深部まで温まるのがわかりますよ。
カイロや湯たんぽは表面しか温まらず、低温やけどのリスクもありますが、小豆袋は人肌程度のぬくもりなので安心です。
ただし!使っているうちに水分は抜けていきますが、最初は少し水分を含んでいるようなので、温めすぎには注意してください。
以前、「温めすぎてグズグズになってしまったので食べちゃったわ」という患者さんがいらっしゃいました(笑)
一度使うと皆さん気に入って、何個も作ってお友だちにプレゼントしたりしていますね。繰り返し使えるのも便利です。
冷却、施術による股関節の矯正、休養、姿勢改善、そして温めることで動かせるようになってきたら、股関節周りの筋力トレーニングをしていきます。
歩いているときにニーイン、つまり膝が内側に入る形になってしまうのは筋力不足です。
筋力が足りないと股関節の位置を正常に保つことができませんので、適度な筋力をつけましょう。
同時に柔軟性アップも図ります。
毎日の実践が難しくても、コツコツ続けていくことが大切
最初にお伝えした通り、股関節痛の患者様には教えることがかなり多いです。
柔軟性を高める運動、筋力アップのトレーニングを、その方の痛みの度合いや年齢に合わせてお伝えしています。
そうですね・・だいたい7割くらいの人がちゃんと宿題をやりません(笑)
誤魔化してもわかっちゃいますね。来院した時に、教えたことをやってみてくださいというと、忘れているか、できていないかですね。
それ以前に、片足立ちをしてもらえばちゃんと取り組んでくれたかどうかがわかります。
それについてはやはりもう、性格というかね、そこは私の矯正するべきものではないので「やっていないならここで一緒にやりましょう」と言っています。
本当は家でも毎日やってほしいですが、そうじゃなくても改善の道筋を見つけていくのが私の仕事です。
変形性股関節症・臼蓋形成不全について解説してくださった増田一三先生が院長を務める「M.A.K.鍼灸整骨院」の詳細はこちらをご覧ください。